アニメ版星のカービィ
2001年10月6日開始〜2003年9月27日終了 毎週土曜日7時30分〜8時00分TBS系列
殆どの声優が複数のキャラを担当しているのが特徴。但し、エンディング曲の画面では優先順位の高いキャラしか表示されない。
カービィ役の大本眞基子はスマブラや、星のカービィ64でもカービィの声を担当しており、いずれも万国共通。原作、アニメ、スマブラにおいて同じ声優が起用されたのは任天堂のゲームキャラとしては2例目となる。
次回予告直前のプププ通信も大本眞基子が担当。視聴者が作った手作りの粘土細工や編み物等の紹介や、カービィ絡みの各種イベント(金沢百万石祭り、ナゴヤドームなど)、プレゼントのお知らせ等々が行われる。
VHSやDVD化されたのは途中のエピソードまでとなっていた。しかし2023年、ブルーレイとして全話収録が実現した。
問題点
過剰なアニメオリジナルキャラ乱発&一部のゲームキャラの設定改悪・冷遇等
本作ではカービィは喋れない設定で、殆どの場面でないがしろにされる傾向が強かった。むしろ「このアニメの主人公はフーム」と言いたくなるほど。
フーム「カービィ、吸い込みよ!」、「来て、ワープスター!」
作品によってはラスボスより手強かったメタナイトのヘタレ化。原因は戦闘シーンの大部分でカービィのみを活躍させる傾向が多いことにある。
ゲームでは根はそんなに悪い奴ではないデデデ大王が大半の話で極悪キャラ化。原作設定が活かされたのは42話、93話に留まっている。やはり全編にわたって反映すべきだろう。
ラスボスのナイトメアが最終回でスターロッドの一撃で倒されたが、ラスボスのくせに一撃死は貫禄丸潰れ。但しスターロッドでなければ倒せない性質を持つので、それが無ければ詰む厄介さを持ち合わせている。
(参考:GBA夢の泉デラックスではナイトメアはスターロッドの星型弾をパワーオーブ形態で20発、ウィザード形態で5発当てなければ倒せない)
登場キャラもフームを筆頭とするアニメオリジナルキャラの比率が異常に高く、ゲームキャラと特徴が被っているキャラも存在し、数多くのゲームキャラの登場機会を潰すに至るほどである。桜井政博の露骨な非桜井冷遇で俗に「非桜井」と呼ばれたシリーズのキャラの多くが登場出来なかった点も悪目立ちさせる一因となっている。
アニメ開始時点でアニメで登場させるに適したゲームキャラが不足していたのであればオリキャラの比率が高くなるのは当然だが、カービィの場合、
GB版初代カービィが1992年に発売されて以来、アニメが始まるまでに10年近くにわたってゲーム版で様々なキャラが登場しており、それらを活かさずに安易にオリキャラを入れたことが問題となっている。
不必要な社会風刺ネタ、パロディ乱発
社会風刺ネタを使う自体悪くは無い。社会風刺ネタやパロディはストーリー進行を妨げない程度ならまだ許容範囲といえるのだが・・・。
しかしアニメ版カービィではストーリーに適さないものを無理矢理入れたケースが多く、中には犯罪被害者の家族を貶す不謹慎なネタも混ざっていた。
(前述のブルーレイ販売の但し書きで不適切な表現について言及されている)
ストーリーと全く関係無い社会風刺ネタ・パロディ目当てのみに徹した話を入れた結果、最終回を迎えるまでにストーリーの伏線解消が出来なかった有り様。終盤が駆け足気味だった原因の1つ。
ゲームで培われた資産が殆ど活かされていない
桜井は「アニメ版とゲーム版は別物」と言っており、それは間違ってはいないが、カービィではそれがマイナスに作用した。
行き過ぎた原作の後追いも好ましくなく、長引きそうならきりのいい所で一旦終了させる必要がある。(過去の失敗例:金銀以降のポケットモンスター)
原作のキャラ、設定等を可能な限り踏襲し、ストーリーをオリジナルで展開するのが無難だろう。
今までのゲームで違う作品同士のキャラを共演させたり、対決させたりするなど、原作のイメージを損なわない程度でのアレンジを施すのも悪くはない。(アニメ終了後に発売された「ロボボプラネット」が恒例)
そして、桜井政博による非桜井冷遇を排除しなければならないのは言うまでもない。
ゲームで培った資産を活かし切れなかったのも非桜井冷遇が足枷となっているからである。
総評
スタッフの暴走で伏線解消が出来なかったり、原作キャラ改悪・冷遇が多く、失敗作の烙印を押さざるを得ない。
ただ、原作の資産が殆ど活かされなかった事は逆に言えば、ゲームキャラ主体で最初から作り直す余地が十分ある事でもある。
過剰なアニメオリジナルキャラ乱発&一部のゲームキャラの設定改悪・冷遇等は1997年に同じくTBS系列で放送された「がんばれゴエモン」で既に発生しており、任天堂はコナミの2の足を踏む格好となった。
また、2013年にゲーム版初代が発売されたレベルファイブの「妖怪ウォッチ」では2014年のアニメ化関連でカービィと同じ過ち(より深刻かもしれない)が為されている。
◎主要キャラをアニメ化で改悪し、後年のゲーム作品で改悪要素を丸ごと逆輸入。
◎ゲーム版女主人公交代において、アニメ版カービィと似た状況下(新主人公の性格に問題あり)だった為、新主人公が過剰なバッシングを喰らった。更に後年のゲームでは旧女主人公が復帰し、新女主人公がサブキャラへ降格となっている。
放送終了後の展開
「鏡の大迷宮」はメタナイト弱体化、「参上!ドロッチェ団」はデデデ大王のキャラデザイン及びデデデ城がアニメ準拠に変更といった改悪がそれぞれ為された。
この2作品はどちらもカプコンの子会社フラグシップ製である。フラグシップは「ドロッチェ団」開発後、再合併された。
デデデ大王のアニメ要素逆輸入は他作品でも行われている。内容や演出(違和感の有無)で評価が全く異なっており、逆輸入要素の厳選という観点では良い参考資料と成り得る。
毛糸:城のデザインがアニメ化準拠、口調が「ぞい」とされた。 →「ドロッチェ団」の二の舞
スターアライズ:魔獣デビルフロッグにとりつかれた全身マッチョなデビルデデデ大王を第2形態の元ネタとした。 →力強いイメージを強調
2010年代に入ってからゲーム版のディレクターである熊崎氏がこうした歪な世界観の再調整に取り掛かっており、その一環としてアニメオリジナルキャラの一部がゲーム再登場を果たしている。
「あつめて!」ではエスカルゴン、カスタマーサービス、マッチョサン、コックオオサカの4人が登場。カブキカービィも必殺技として逆輸入。
3人はギャグキャラとしてゲームでも扱いやすかったからだろう。残るオオサカはアニメ版ではカワサキの師匠として登場していた為。
「スターアライズ」では2回目の更新の際にオクタコンがアドレーヌ(※)の描いた絵として登場。
その一方、事実上のアニメ版主人公だったフームは2度にわたってゲーム版再登場を逃している。熊崎氏曰くアニメオリジナルキャラとゲーム版の世界観の摺合せが難しいとのことだが、フームの性格に問題(偽善者)を抱えているのも一因だろう。なお、2022年のシリーズ30周年記念グッズ展開では弟のブンと共に「きほんはまる」名義でラインナップに入っている。
2021年現在、カービィシリーズの作品間同士ではパラレルワールドの関係にある事が「スターアライズ公式設定資料集」で明言されているが、少なくともアニメの影響(傷痕)が大きい。
※「64」の主要キャラクターで非常に人気が高かったが、アニメ版では未登場。「スターアライズ」での再登場まで18年もの歳月を要したのもゲーム版世界観がアニメ版準拠の改悪の影響であると噂されている。そればかりか非桜井ゲームキャラ(特に64)はアニメ版を境に全体的に冷遇傾向にあった。
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