SFC版信長の野望天翔記

開発・発売:光栄

1994年12月にパソコン版が発売された。
スーパーファミコン版は1996年発売。
管野よう子が信長の野望でBGMを手がけた最後の作品でもある。


天翔記全体の概要(省略しまくりだが)

シリーズでお馴染みの政治、戦闘、智謀といった基本ステータスに成長要素が導入され、弱い武将でも成長すれば強い武将を圧倒出来る。
この他、足軽、騎馬、鉄砲、水軍の兵科が6段階のランクに分かれたり、技能が導入されたり等、武将ごとの個性が強まった。
(例:鉄砲隊を多用する織田信長は鉄砲、野戦に秀でた徳川家康は足軽、騎馬軍団を率いる武田信玄は騎馬にそれぞれ秀でる。)
身分制の導入により、身分が低ければたとえ強い武将でも大軍を率いることが出来なくなっている。
一度の合戦で複数の城を落とせるようになったのも特徴。

これらが原因で勢力の拡大と衰退のスピードが尋常ではなく、強い大名や複数の大名が一回の合戦で滅亡してしまうことも珍しく無い。

パソコン版、プレイステーション版、セガサターン版は後にパワーアップキット同梱版が発売された。

以下、本題のSFC版の評価に移る。


SFC版の評価

全くの別のゲームと言っていい程の大幅なアレンジが施されている。

◎収録シナリオの減少
他機種のパワーアップキット版が最大6本収録に対し、2本に減らされている。とはいえどちらもやり応えのあるシナリオである。
シナリオ1:信長初陣(1547年)
開始年が1年遅いことを除けばパワーアップキット追加シナリオ「信長元服(1546年)」とほぼ同じ。題名の通り、信長が元服した直後に開始。
極端に突出した勢力が少ないので、一部を除いて殆どの大名で天下を狙えるかもしれない。
初心者向きのシナリオで、繰り返しプレイにも向いている。
シナリオ2:信長包囲網(1571年)
織田、武田、毛利といった大勢力が多数出揃っている。
織田家と隣接する敵勢力(武田、本願寺、浅井、朝倉)同士が同盟を結んで信長包囲網を形成してるのがこのシナリオの特徴。
大勢力とはいえ織田はこの包囲網のせいであっさり滅亡しやすい。

◎城と武将の数が大幅に減少
容量の都合でそうせざるを得なくなったが、比較的短期間で全国統一を成し遂げられるので、繰り返しプレイに向く。

◎パワーアップキットに準じたアレンジ
1:パワーアップキットで追加された各種イベントが最初から搭載されている。
2:征夷大将軍に就任した時にアイテム「らんじゃたい」を貰える。
3:超低確率ではあるが、教育コマンドで「騎鉄(騎馬鉄砲隊編成可能)」を習得可能。
これにより騎馬鉄砲主体の大部隊を編成出来る。しかし実現するまでにとんでもない数の途中セーブとリセットを繰り返す羽目になるが。

前述の通り登場武将は減らされており、パワーアップキットで追加される武将は登場しない。

※パワーアップキットとは、本編の不具合修正や機能追加等を目的として販売される。これはファンの間で「完全版商法」として悪評となっている。

◎連隊システム導入
6人一組の連隊で行動し、自分以外はすべて委任状態となり、大まかな命令しか下せなくなっている。
特に攻城戦では味方同士が団子状態となってしまい、大まかな命令をタイミング良く下さなければ大幅なタイムロスとなりやすい。
命令の際には武将の兵科や機動力等を把握しておく必要がある。(例:騎馬隊は城壁を登れない、水軍適正が高ければ堀をスムーズに進める等々)

一方、野戦では様々な陣形を組めるようになっており、連隊システムは野戦の陣形の為に導入されたといっても過言ではない。
陣形の種類:魚鱗、鶴翼、偃月、衡軛、長蛇、雁行、方円、蜂矢、車懸
車懸の陣は上杉謙信のみが使える陣形で、全ての部隊が円を描くように回りながら攻撃をするものとなっている。
野戦で真っ先に大将の部隊が撃破されるとその連隊は壊滅するので、自分の大将が先にやられないように気をつけるべし。
オススメは鉄砲隊主体で編成し、天気が晴れもしくは曇りを狙って(鉄砲は雨や雪だと使えない)雁行を組んで蜂の巣にする戦法。

◎高クオリティのBGM
総じてオーケストラ風となっており、次世代機にも全く引けを取らないほど。BGMを楽しみながらプレイするのもまた一興か。


総評
特筆すべきはパワーアップキットの要素が一部だが最初から搭載されている事だろう。
多少の欠点は目立つものの、致命的なものは皆無で、欠点を逆手にとってロマンを求めるプレイをするには程よい。
しかし悲しいかな。これほど神がかったアレンジに満ちているのにSFC版の仕様で他の機種への移植・復刻された事が一度も無い。


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