特急優先ダイヤ問題

JRの一部の路線では乗車券のほかに特急券が必要な特急を多く走らせ、乗車券だけで乗れる普通列車を殆ど走らせていない路線がいくつか存在する。いわゆる「特急誘導」である。
ここでは特急優先ダイヤを組んでいる路線を挙げ、改善案を立てる。
尚、普通の増発目安は2時間間隔とする。

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石勝線
特急は南千歳〜新得で12本(定期便のみカウント)で、列車名はスーパーおおぞら、スーパーとかち、とかち。
普通列車は南千歳〜追分と追分〜新夕張で6本ずつ、新夕張〜夕張で9本(南千歳又は追分からの直通便含む)設定されている
新夕張〜新得間は開業当初から普通列車が1本も設定されておらず、この区間だけの利用であれば乗車券だけで特急に乗れる特例が設けられている。
ところが、特急12本のうち、特例区間の南千歳側の末端である新夕張に停車する特急は新得方面が8本、南千歳方面は7本しかなく、特例による恩恵があまり活かせていない。
新夕張〜新得間については特急を新夕張に全列車停車させればOK。
追分〜新夕張の普通列車は時間帯によって間隔がばらついており、短くて1時間、長くて4時間間隔となっている。
対策としては間隔が大きく開いてる時間帯のちょうど真ん中を走る特急列車を乗車券のみで乗れるようにするのだが、根室本線の新得〜釧路方面の普通列車との接続も考慮する必要がある。

函館本線旭川〜滝川
高速バスに負けじとスーパーカムイが約30分間隔で走っているのに対し、普通は4時間に1本しか来ない状態である。
特急で旭川〜滝川を利用した場合、営業キロが50キロを若干オーバーするので100キロ分の特急料金を徴収されてしまう。
新千歳空港発着のスーパーカムイは新千歳空港〜札幌間を快速列車として走らせているが、約半数を全区間に亘って快速運転するのが望ましい。

函館本線・室蘭本線函館〜長万部〜東室蘭
特急は北斗が毎時1本走っているのに対し、普通は概ね3〜4時間間隔になっており、更に乗換駅での接続の悪さが目立つ。
特に函館から長万部まで始発便の普通列車で利用した場合、僅か数分の差で函館本線・室蘭本線の両方の普通に先に発車され、3時間以上待たされてしまう。
この区間の営業キロは200キロ近くに及ぶので快速に格下げすれば18切符などの特急が使えないフリー切符に寝返る客が殺到して大赤字になるのは必至。
普通を2時間間隔にするのが適切だが、同時に乗換駅での接続の悪さも改善すべきである。

津軽海峡線
かつては快速海峡号が走っていたが、現在は特急白鳥に格上げされてしまっている。
救済策として蟹田〜木古内間のみの利用であれば自由席を乗車券のみで利用出来るが、不十分である。
蟹田・木古内のどちらか片方を通過する列車があるせいで各駅停車との接続が悪化しているのだ。もちろん両方通過の便もあるが、必要性に疑問符が付く。
言うまでも無く蟹田・木古内のどちらか片方通過を両方停車に戻した上で両方停車の便を全列車青森〜函館間を快速に戻し、両方通過を特急のままで残すのが妥当だが、適切な時間帯(津軽線・江差線の普通との接続を考慮)にシフトさせる必要がある。

奥羽本線・田沢湖線標準軌区間
これら2路線は東京発着のこまちばかり走らせ、普通は殆ど走っておらず、こまちが途中の駅にあまり止まらないので路線そのものの地元利用がしにくい状態である。
特に田沢湖線赤渕〜田沢湖間の1区間に至っては1日4本しかなく(朝2本、夕方2本)、普通同士の接続も悪い。
こまちの半数を該当区間のみ快速扱いするのが妥当だが、いっそのこと普通を全便廃止・バス転換して津軽海峡線や石勝線の特例を発生させてしまうのも手。
普通を全便廃止・バス転換した場合、田沢湖線の701系が余剰となるが、これらは奥羽本線福島〜米沢に転属させてその区間の普通増発に回すとよい。

中央本線中津川〜塩尻
特急しなのが毎時1本走っているのに対し、普通は約2時間〜2時間40分に1本という有り様である。
普通を2時間間隔にまとめ、等間隔にする事で分かりやすさを重視する必要がある。
そうすれば、しなのから普通へ、普通からしなのへの乗継ぎがパターン化され、乗り継ぎ時間も分かりやすくなる。

高山本線下呂〜高山
ひだが毎時1本走っているのに対し、普通は約3〜5時間にわたって走らない時間帯がある。
その時間帯に走っているひだのうち、飛騨萩原・小阪・久々野に追加停車する列車を下呂〜高山間快速格下げするか、普通を増発する必要がある。
ちなみに、特急券との組み合わせで特急に乗れる青空フリーパスは高山本線では岐阜〜下呂のみ使用可能で、下呂〜高山は使用出来ない。

紀勢本線紀伊田辺〜新宮
1999年に165系を置き換える目的で観光路線であるこの路線に投入された105系が4扉オールロングシートでトイレ無し車両だった。
同時に減便も行われた為、トイレ目的でいったん下車してしまうと3時間以上待たされるので地元利用客から苦情が相次ぎ、遂にJR西日本に警告が出された。
警告を受けてから105系にトイレを設置したが、ロングシートのままであることから未だに地元利用客の怒りは収まらない。
一連の愚行は特急くろしお(スーパーくろしお、オーシャンアロー含む)に客を誘導させる手段として行われたが、かえって鉄道離れを助長させる結果となった。
この区間の改善はオールロング問題の解決も同時に行う必要がある。
1:105系を岡山電車区に転属させ、代わりに岡山電車区の213系を投入する。(213系は2扉クロスシート)
2:紀伊田辺〜新宮間の各駅停車を増発又は運転時間帯調整し、約3時間間隔から2時間間隔にする。同時に特急くろしおと普通を等間隔で交互運転。

伯備線
特急誘導区間は新見〜生山だが、この区間の改善は伯備線全体の白紙改正も必須となるだろう。
新見〜生山は特急やくもが毎時1本に対し、普通は3〜4時間に1本である。
やくもは生山停車、根雨停車が交互に走っており、半数を生山と根雨の両方通過に戻し、特急のままとする。
残り半数は両方停車に加えて伯耆大山にも停車させたした上で新見〜米子(山陰本線)間を快速格下げすればOK。伯耆大山にも停車させれば倉吉・鳥取方面との乗換えが便利になる。
生山〜伯耆大山では普通列車が2時間〜2時間30分間隔で不揃いとなっており、これを2時間の等間隔にすればやくものダイヤも組みやすくなる。
備中高梁〜新見間では普通が約1時間30分間隔だが、これを需要が見込める時間帯を1時間間隔、需要が見込めない時間帯を2時間間隔にするといい。

高徳線
特急誘導区間は引田〜板野だが、改善するには高徳線全体の白紙改正も必須となるだろう。
特急はほぼ1時間間隔に対し、普通は運転間隔が極端に短かったり(20分前後)長かったり(約3時間)している。
需要が見込める時間帯は1時間の等間隔にし、あまり需要が見込めない時間帯は2時間の等間隔にするのが望ましい。
等間隔化は高徳線全体の利便性向上につながるが、これを阻んでいるのが高松〜徳島間で志度・三本松のみ停車の特急うずしお速達タイプである。

日豊本線
特急誘導ワースト1と噂されるのが宗太郎越えで有名な佐伯〜延岡。
この区間は特急が毎時1本に対し普通は1日3本(2004年当時は1日2本)で、国鉄時代(特急・急行と普通列車の本数がほぼ5分5分)と比べて格段に利用しにくくなっている。
この区間を走るにちりんは宮崎空港〜宮崎では乗車券のみで利用できる特例があるが、この区間も特例を設けるべきである。
函館本線旭川〜滝川と同様、佐伯〜延岡で特急利用した場合、営業キロが50キロを若干オーバーするので100キロ分の特急料金を徴収されてしまう。
もう1つは宇佐〜杵築。特急ソニック(にちりん)が30分間隔で走っているのに対し、普通は3時間間隔となっている。
特急ソニックは普段は振子車両だが、車両点検絡みで振子機構を持たない車両で代走する事も多い。
この点も考えればソニックを毎時1本に減便し、減便で空いたスジを普通増発に回すのが妥当。
減便によって車両点検の際に振子機構を持たない車両での代走を無くすメリットもある。



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